日本未上陸ブランドを、個人輸入せずに買う方法まとめ

はじめまして、三上慧と申します。
セレクトショップの販売員を7年経験したあと独立し、いまはアジア圏のストリートブランドを取材しながら、小さなオンラインセレクトで仕入れの手伝いをしています。

年に数回、ソウルや台北、バンコク、ホーチミンを回っています。
ハノイに通い始めたのは2023年からです。

現地の店に入って商品を触っていると、日本ではまず見かけないブランドに出会います。
そして帰国後、同じ気持ちになった読者の方から必ずといっていいほど聞かれるのが「これ、どこで買えるんですか」という質問です。

海外のブランドを買う方法として真っ先に思い浮かぶのは、公式サイトからの個人輸入でしょう。
ただ、実際にやってみると、関税の計算、サイズ表記の違い、返品の可否、問い合わせの言語という4つの場所で足が止まりやすいのも事実です。

この記事では、その個人輸入をあえて避けて、日本未上陸のブランドを手に入れる方法を整理します。
選択肢は4つあり、それぞれ得意な場面が違います。
どのルートを選ぶかの判断材料まで持ち帰っていただけるように書きました。

個人輸入が面倒なのは、税金の計算が読みにくいから

個人輸入をためらう理由として、私が一番よく聞くのが税金の話です。
ここは感覚で語られがちなので、まず税関の公式な説明を確認しておきます。

課税価格は海外小売価格の6割で計算する

海外から商品を輸入すると、原則としてその商品に関税がかかります。
ただし個人が自分で使う目的で輸入する場合、課税のもとになる金額の計算方法が変わります。

税関の少額輸入貨物の簡易税率のページには、個人が自身の個人的使用の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格に0.6を掛けた金額になると明記されています。
つまり3万円のジャケットなら、課税価格は1万8,000円という計算です。

さらに、課税価格の合計が20万円以下の場合には、一般の関税率とは別の簡易税率が使えます。
数千に分かれた品目分類ではなく、7つの区分で税率を決める仕組みです。

区分の例関税率
衣類および衣類附属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものを除く)10%
プラスチック製品、ガラス製品、家具など3%
ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品など無税
その他のもの5%

ここまでなら、それほど難しい話ではありません。
問題はこの先です。

「1万円以下なら免税」が服では通用しない

海外通販の解説でよく見かけるのが、課税価格1万円以下なら関税と消費税は免除されるという説明です。
これは原則としては正しく、税関の課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用についてというページにも書かれています。

ただし同じページに、免税にならない物品が例示されています。
革製のカバン、ハンドバッグ、手袋、編物製衣類(Tシャツ、セーターなど)、スキー靴、革靴および本底が革製の履物類などです。

服・靴・バッグを買おうとしている読者にとって、これはほぼ直撃です。
私たちが海外で買いたくなるものの多くが、免税の例外側に並んでいると考えたほうが現実に近いといえます。

しかも先ほどの簡易税率にも、適用されない品目があります。
税関のページでは、旅行用具やハンドバッグなどの革製品、ニット製衣類、履物が例として挙げられています。
これらは一般の関税率、つまり品目ごとに細かく分かれた税率を確認する必要があります。

通関の手数料は事前に読みにくい

もうひとつ見落とされやすいのが、税金以外にかかるお金です。

税関の案内によれば、国際郵便で税金の納付を日本郵便に委託する場合、税金相当額に加えて日本郵便の取扱手数料を支払うことになります。
国際宅配便を使った場合は通関手続を業者が代行するため、税金とは別に代行手数料が必要になることがあり、金額は業者に確認してくださいと案内されています。

つまり、最終的な支払額は業者によって変わります。
商品ページの価格を見た時点では総額が確定しないという、この読みにくさが、個人輸入の心理的なハードルの正体だと私は思っています。

海外通販のトラブルは、実際に増えている

もうひとつ、数字の話をしておきます。

国民生活センターが2026年8月5日に公表した2025年度 越境消費者相談の状況によれば、2025年度に寄せられた越境消費者相談は9,127件でした。
開設以降の過去最高件数で、2024年度の6,005件と比べると約1.5倍です。

商品・サービス類型で見ると、最多は役務・サービスの5,019件(55.0%)ですが、次に多いのが衣類で769件(8.4%)でした。
前年度の435件から大きく増えています。
履物も89件から201件へと増加しました。

トラブルの中身も見ておきましょう。

  • 解約に関するもの 53.0%
  • 詐欺疑い 1,068件(11.7%)
  • 商品未到着 555件(6.1%)
  • 模倣品の到着 143件(1.6%)

詐欺疑いと商品未到着を合わせると、全体の2割近くになります。
決済手段はクレジットカードが72.1%を占めていました。

海外の小さなブランドの公式サイトが危ないと言いたいわけではありません。
ただ、見たことのないドメインにカード情報を入力する行為が、統計上まったくの安全地帯ではないことは知っておいて損がないと思います。

個人輸入をせずに買う4つのルート

ここからが本題です。
私が実際に使い分けている4つのルートを紹介します。

ルート1 日本語対応の海外ブランド専門EC

いま一番現実的なのがこれです。
日本の事業者が海外ブランドと契約し、日本語のサイトで販売しているタイプのECサイトを指します。

このタイプの利点は、価格に輸入税や関税を含めて表示している運営が多いことです。
受け取りのときに追加請求が来ないので、買う前に総額が確定します。
問い合わせも日本語で、支払いもクレジットカードやコンビニ決済といった見慣れた手段が使えます。

具体例として、ベトナムのブランドを挙げます。
ハノイ発のHBS(ハノイボーイズスワッグ)は、リフレクティブ素材や独特のカラー展開で知られるブランドで、日本には店舗がありません。
それでもアジアファッション通販の60%(シックスティーパーセント)に公式ショップページがあり、トップスなら5,000円台から1万円台前半で買えます。

ブランドそのものの傾向やアイテムの実物については、HBSなどハイエンドなストリートウェアを追いかけている記録ブログが参考になります。
現地と東京を往復している書き手の視点なので、通販サイトの商品説明だけでは分からない部分が拾えます。

ルート2 購入代行・パーソナルショッパー型

BUYMAに代表される、個人の買い付け人が海外で購入して発送するタイプです。

強みは守備範囲の広さです。
専門ECが扱っていないブランドや、現地限定のカラーまで届く可能性があります。

弱点は、品質が出品者ごとに変わることです。
価格も出品者の設定次第で、相場から離れることがあります。
評価件数の少ない出品者や、相場より極端に安い出品には慎重になったほうがいいでしょう。

ルート3 海外から日本への転送サービス

海外に倉庫を持つ事業者が荷物を受け取り、日本にまとめて送ってくれるサービスです。
現地のECサイトが日本への発送に対応していない場合の抜け道になります。

ただし、これは厳密には個人輸入を代行してもらう形です。
関税や消費税の負担は原則として自分に来ますし、現地サイトでの購入手続き自体は自分で行う必要があります。
今回の記事のテーマからは半歩外れる方法だと考えてください。

なお、日本国内から海外へ送る転送サービスと名前が似ているため、方向を取り違えないよう注意してください。

ルート4 国内の正規取扱と二次流通

盲点になりがちですが、意外と早いのがこれです。
日本のセレクトショップが数型だけ仕入れていたり、期間限定のポップアップで扱われていたりします。

二次流通も選択肢です。
すでに日本国内にある個体なので、届くのが早く、返品条件も国内のルールで判断できます。

ルート関税の扱い日本語対応到着までの目安向いている人
専門EC価格に含む運営が多いあり2週間前後総額を確定させたい人
購入代行出品者や条件によるあり2週間から1か月程度取扱のないブランドを探す人
転送サービス自分で負担サービスによる手続き次第現地サイトでしか買えない人
国内取扱・二次流通不要あり数日早さと確実さを優先する人

買う前に確認しておきたい4つの表示

どのルートを選ぶにしても、購入前に読む場所は同じです。
私はこの4か所を必ず開きます。

価格に関税が含まれているか

配送に関するページに書かれています。
たとえば60%は配送についてのページで、輸入税と関税はすべて商品価格に含まれていると明記しています。
この一文があるかどうかで、支払総額の見え方がまったく変わります。

返品と交換の条件

ここが一番シビアです。
海外から発送するタイプのサイトでは、色やサイズが合わないといった購入者都合の返品・交換を受け付けていない場合が珍しくありません。

先ほどの60%も、購入者都合の返品と交換は一切受け付けておらず、不良品や注文内容と異なる商品が届いた場合に限って対応する、到着後7日以内に連絡が必要、という条件を公開しています。
注文完了後のキャンセルや変更も原則できないとしています。

これは不親切という話ではなく、海外から一点ずつ送る仕組みの必然です。
逆にいえば、返品できない前提で買えるかどうかが、このルートを使う条件になります。

到着日数と紛失時の扱い

海外出荷の場合、営業日で2週間から3週間程度かかることがあります。
60%は購入日から営業日4日から最大20日程度と案内しており、予約商品はさらに延びると明記しています。

紛失や盗難の補償を行わないと表明しているサイトもあります。
追跡番号が発行されるかどうかも、あわせて確認しておきたいところです。

支払い方法

クレジットカード以外の選択肢があるかを見ます。
コンビニ決済や、限度額を絞れる決済手段が使えるサイトなら、初回の心理的な負担は軽くなります。

失敗を減らすためにやっている3つのこと

最後に、私が実務としてやっていることを共有します。

サイズは表記ではなく実寸で合わせる

アジアのブランドはS・M・Lと表記していても、寸法の設計思想が国ごとに違います。
オーバーサイズが前提のブランドでは、Sでも日本のLに近い身幅ということが普通に起こります。

私は手持ちで一番しっくりくる服を平置きで測り、身幅、着丈、肩幅、袖丈の4つをメモに残しています。
商品ページの実寸表と数字で突き合わせれば、判断の精度は大きく上がります。

買う前の画面を残しておく

商品ページ、価格、配送条件、返品条件のスクリーンショットを撮っておきます。
届いた商品が説明と違ったとき、交渉の材料になるのは記憶ではなく画面です。

注文確認メールも、届いてすぐ専用のフォルダに振り分けておくと後で楽になります。

困ったときの窓口を知っておく

海外の事業者との取引でトラブルになった場合、国民生活センターが運営する越境消費者センター(CCJ)という相談窓口があります。
インターネットでの海外事業者との取引や、海外での現地取引のトラブルについて、原則メールで解決方法のアドバイスを行っている機関です。
複数の国の窓口機関と連携し、必要に応じて海外の事業者に対応を促すこともあるとされています。

存在を知っているだけで、いざというときの動き方が変わります。

まとめ

日本未上陸のブランドを買う方法を、個人輸入を避ける前提で整理してきました。
要点を振り返ります。

  • 個人使用目的の輸入では課税価格が海外小売価格の6割になるが、革製品・ニット製衣類・履物は1万円以下でも免税にならない
  • 越境消費者相談は2025年度に9,127件と過去最高で、衣類は769件と前年から大きく増えている
  • 日本語対応の専門ECは関税込み表示で総額が確定しやすく、いま最も扱いやすい選択肢
  • 購入代行は守備範囲が広い代わりに出品者ごとの差が大きい
  • どのルートでも、価格の内訳・返品条件・到着日数・支払い方法の4か所は買う前に読む

海外のブランドを買うのは、昔に比べればずっと簡単になりました。
一方で、返品できない前提や到着までの時間といった、国内通販とは違う条件は今も残っています。

その条件を分かったうえで選べば、見たことのない服が自分のクローゼットに入ってくる楽しさのほうが、ずっと大きいはずです。
気になっているブランドがあるなら、まずは日本語で買える窓口があるかどうかを調べるところから始めてみてください。

最終更新日 2026年8月26日 by unratt