なぜ中学英語が重要なのか?ビジネス英語の9割が中学レベルで通じる理由

「海外の取引先との重要な会議で、もっと流暢に話せたら…」

「英語のメールを書くのに、いつも1時間以上かかってしまう…」

ビジネスで英語を使う場面が増えるたびに、このように感じていませんか。
多くの人が「ビジネス英語」と聞くと、難解な専門用語や複雑な言い回しをマスターしなければならない、と身構えてしまいます。

しかし、もしそのプレッシャーが、全くの思い込みだとしたらどうでしょうか。

こんにちは。
私は大手メーカーで10年間、海外営業として世界中を飛び回り、現在はその経験を活かしてビジネス英語コーチをしています。

TOEIC920点というスコアだけ見ると、さぞかし難しい英語を使いこなしていたのだろうと思われるかもしれません。
しかし、私が世界中のビジネスパートナーと交渉をまとめ、信頼関係を築いてきた武器は、決して難しい単語や複雑な構文ではありませんでした。

驚かれるかもしれませんが、ビジネス英語の9割は、実はあなたが学生時代に学んだ「中学英語」で十分に通用するのです。

この記事では、私が最前線で痛感した「中学英語こそが最強の武器である理由」を、具体的なシーンや学習法とともにお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたは「ビジネス英語=難しい」という呪縛から解放され、「これなら自分にもできる」という確かな自信と、明日から何をすべきかという明確なロードマップを手にしているはずです。

驚きの事実!ビジネス英語の9割は中学英語で成り立っている

「本当に中学英語だけで、ビジネスの現場で戦えるの?」
そう疑問に思う気持ちもよく分かります。

しかし、これは紛れもない事実です。
なぜなら、ビジネスにおけるコミュニケーションの目的は、文学作品を味わうことではなく、「正確に意図を伝え、相手に動いてもらうこと」だからです。

なぜ専門用語よりも「シンプルな英語」が重要なのか?

ビジネスの世界では、英語を母国語としない「非ネイティブ」の人口が圧倒的に多いという現実があります。
一説には、ビジネスで英語を話す人の約8割が非ネイティブだと言われています。

私が担当していたドイツ人のエンジニアも、台湾人の購買部長も、インド人の開発担当者も、誰もがネイティブのような流暢な英語を話すわけではありませんでした。
彼らが使っていたのは、例外なくシンプルで分かりやすい英語です。

一度、私が新製品のプレゼンで少し背伸びをして難しい技術用語を並べたことがあります。
すると、いつもは鋭い質問を投げかけてくるヨーロッパのクライアントが、きょとんとした顔で黙ってしまいました。

慌てて、「In other words…(言い換えると…)」と続け、簡単な単語と身振り手振りを交えて説明し直したところ、「OK, I understand!(なるほど、理解したよ!)」と彼の顔がパッと明るくなったのです。

この経験から、ビジネスの現場では「自分が言いたいことを、相手が確実に理解できる言葉で伝える」ことこそが正義なのだと痛感しました。

世界のビジネス共通語としての「グロービッシュ」という考え方

この「シンプルで分かりやすい英語」という考え方を体系化したのが、「グロービッシュ(Globish)」です。

これは、フランス人のジャン=ポール・ネリエール氏が提唱したもので、非ネイティブが効果的にコミュニケーションを取るためのツールとしての英語を指します。

グロービッシュには、以下のような特徴があります。

  • 使用する単語を1500語に限定する
  • 文法は基本的なもののみを使う
  • 1つの文は15単語以内に収める
  • ユーモアや皮肉、慣用句は避ける

勘の良い方はもうお気づきかもしれません。
そう、この「1500語」という数字は、日本の文部科学省が定める中学校で習う英単語数とほぼ同じなのです。

つまり、世界中のビジネスパーソンが円滑に意思疎通を図るために使っているグロービッシュは、まさに私たちが学んできた中学英語そのものだと言えます。

参考: 朝5分の中学英語 めくって覚える。1日つぶやく。

実際のビジネス現場の声:海外の非ネイティブも難しい英語は使わない

「でも、ネイティブスピーカーと話すときは、やっぱり難しい英語が必要なのでは?」と思うかもしれません。

もちろん、ネイティブは語彙も表現も豊富です。
しかし、彼らもビジネスの相手が非ネイティブだと分かれば、無意識に分かりやすい言葉を選んで話してくれます。
なぜなら、彼らのゴールもまた「ビジネスを円滑に進めること」だからです。

大切なのは、ネイティブのように話すことではありません。
世界中の誰とでも、誤解なく、確実に意思疎通ができること。
そのための最も効果的なツールが、中学英語なのです。

「中学英語レベル」とは具体的に何を指すのか?

では、ビジネスの土台となる「中学英語レベル」とは、具体的にどの程度の知識を指すのでしょうか。
分解してみると、そのシンプルさに驚くはずです。

単語:覚えるべきはコアとなる1500語

先ほども触れましたが、中学校の3年間で学ぶ英単語は約1500語から1800語です。
ビジネスで求められるコア語彙も、実はこのレベルで大部分をカバーできます。

考えてみてください。
“develop”(開発する)、”increase”(増加する)、”suggest”(提案する)、”responsible”(責任がある)など、ビジネスで頻出する単語の多くは、中学で習ったものではないでしょうか。

難しい単語を一つ覚えるよりも、”get” “take” “have” “make” といった基本動詞を使いこなす方が、表現の幅は格段に広がります。

例えば、「会議を設定する」と言いたいとき。
“arrange a meeting” という表現を知らなくても、”have a meeting” や “make a meeting” で十分に意図は伝わります。

文法:ビジネスの土台となる5つの基本文型

英語の文は、突き詰めれば以下の5つの基本文型(パターン)のどれかに当てはまります。

文型構造
第1文型S + V (主語 + 動詞)I agree. (私は同意します。)
第2文型S + V + C (主語 + 動詞 + 補語)This product is great. (この製品は素晴らしい。)
第3文型S + V + O (主語 + 動詞 + 目的語)We will send the invoice. (私達は請求書を送ります。)
第4文型S + V + O1 + O2I will give you the details. (あなたに詳細を伝えます。)
第5文型S + V + O + CPlease keep me updated. (私に最新情報を知らせてください。)

複雑に見えるビジネス文書や会話も、この5つの骨格の組み合わせで成り立っています。
まずはこの基本構造をしっかり意識することで、あなたの英語は驚くほど論理的で分かりやすくなります。

時制:現在・過去・未来・現在完了形を使いこなせれば十分

「過去完了進行形」や「未来完了形」など、複雑な時制を覚えて使いこなすのに苦労した経験はありませんか?

安心してください。
日常的なビジネスシーンで、これらの時制が登場することは滅多にありません。

基本となるのは以下の4つです。

  • 現在形:現在の状態や習慣を伝える (We have a branch in London.)
  • 過去形:過去の出来事を伝える (I visited the client yesterday.)
  • 未来形:未来の予定を伝える (We will launch a new product next month.)
  • 現在完了形:過去から現在への継続や完了を伝える (I have just finished the report.)

特に現在完了形はビジネスで非常に便利です。
「報告書、ちょうど終わりました」「まだサンプルを受け取っていません」といった、”今”と繋がりのある状況を的確に表現できます。
この4つの時制を使いこなせれば、業務の9割以上は問題なく対応できます。

【シーン別】中学英語がビジネスで最強の武器になる活用術

ここからは、中学英語が実際のビジネスシーンでいかに「使える」かを見ていきましょう。
気取った表現は一切不要です。シンプル・イズ・ベストを体感してください。

自己紹介:I am a … / I am in charge of … で完璧に伝わる

初対面の挨拶は、第一印象を決める重要な場面です。
しかし、ここでも難しい表現は必要ありません。

I am Hanako Tanaka from ABC Corporation.
(ABC社の田中花子です。)

I am in charge of marketing.
(私はマーケティングを担当しています。)

It’s a pleasure to meet you.
(お会いできて光栄です。)

たったこれだけです。
“I am a marketing manager.”(私はマーケティングマネージャーです)のように役職を伝えても良いでしょう。
自分の名前、会社名、担当業務を、中学で習った “I am …” の構文で伝えるだけで、あなたの役割は100%相手に伝わります。

メール:Could you …? / I would appreciate it if you could … を使った丁寧な依頼

英語メールの基本は「結論から、短く、分かりやすく」です。
そして、相手に何かをお願いする際には、中学で習った丁寧な表現がそのまま活きてきます。

Could you please send me the report by this Friday?
(今週の金曜日までに、そのレポートを送っていただけますでしょうか?)

I would appreciate it if you could check the attached document.
(添付の書類をご確認いただけますと幸いです。)

“Could you…?” や “I would appreciate it if you could…” は、非常に丁寧で、かつビジネスで頻繁に使われる鉄板フレーズです。
無理に難しい単語を探さなくても、あなたの丁寧な姿勢は十分に伝わります。

会議・交渉:I think … / What do you think? で議論を動かす

会議や交渉の場では、自分の意見を述べ、相手の考えを聞くことが基本です。
ここでも、中心となるのはシンプルな中学英語です。

  • 意見を言うとき I think we should change the schedule.
    (私たちはスケジュールを変更すべきだと思います。)
  • 提案するとき How about starting the project next week?
    (来週からプロジェクトを始めるのはいかがでしょうか?)
  • 相手の意見を聞くとき
    > What do you think about this idea?
    > (このアイデアについて、どう思われますか?)

これらのシンプルなフレーズが、議論の起点になります。
大切なのは、難しい言葉で飾ることではなく、「私はこう思う。あなたはどう思う?」という意思疎通のキャッチボールを始めることなのです。

今から始める!中学英語をビジネスレベルに引き上げる3ステップ学習法

「中学英語が大切なのは分かった。でも、忘れてしまっている部分も多い…」
そう感じている方も多いでしょう。

大丈夫です。一度学んだ知識は、少し刺激を与えれば必ず蘇ります。
ここからは、眠っている中学英語の知識を呼び覚まし、ビジネスで「使える」レベルに引き上げるための具体的な3ステップをご紹介します。

STEP1:現状把握|中学レベルの文法・単語で「抜けている知識」を洗い出す

まずは、自分の現在地を知ることから始めましょう。
本屋さんで、中学3年間を1冊で復習できるような薄い参考書や問題集を手にとってみてください。

パラパラとめくってみて、「あ、この不定詞の用法、忘れてるな」「この単語、意味が曖昧だ」といった、「抜けている知識」や「忘れている知識」を可視化することが目的です。
完璧に解こうと気負う必要はありません。現状を客観的に把握することが、最初の重要な一歩です。

STEP2:徹底反復|薄い参考書を1冊完璧に仕上げる

STEP1で見つけた弱点を克服するために、決めた1冊を徹底的にやり込みましょう。
ポイントは、あれもこれもと手を出さないことです。

厚い参考書を1回やるよりも、薄い参考書を5回繰り返す方が、知識は圧倒的に定着します。
「この本に載っていることなら、何を聞かれても大丈夫」
そう言えるレベルまで1冊を完璧に仕上げることで、あなたの英語の土台は揺るぎないものになります。

STEP3:実践練習|オンライン英会話などで「使う」ことを習慣にする

知識のインプット(STEP2)と並行して、アウトプットの機会を強制的に作りましょう。
インプットした知識は、「使う」ことで初めて「スキル」に変わります。

今は安価で質の高いオンライン英会話がたくさんあります。
1日25分でも構いません。
STEP2で覚えた単語や文法を、意識的に使ってみてください。

最初は言葉に詰まるかもしれません。
間違えることもあるでしょう。
しかし、その失敗こそが、あなたの英語をより実践的なものへと磨き上げてくれます。
スポーツの素振りのように、毎日英語を口に出す習慣を作ることが、上達への最短ルートです。

まとめ

今回は、ビジネス英語の9割が中学レベルで通用する理由と、その具体的な学習法についてお話ししました。

最後に、この記事の要点をもう一度振り返ります。

  • ビジネス英語の核心は「シンプルで分かりやすい」こと
  • 世界の共通語「グロービッシュ」が求めるのは中学レベルの1500語
  • 覚えるべきは基本単語、5文型、4つの基本時制
  • 自己紹介やメール、会議も中学英語のフレーズで十分に対応できる
  • 学習は「現状把握」「徹底反復」「実践練習」の3ステップで進める

多くの人が、英語学習のゴールを「ネイティブのように話すこと」に設定してしまい、そのあまりの道のりの遠さに挫折してしまいます。

しかし、ビジネスにおける本当のゴールは、「英語を使って仕事の目的を達成すること」です。

中学英語は、決してゴールではありません。
しかし、それは世界中のビジネスパーソンと対等に渡り合い、あなたの可能性を無限に広げるための、最も確実で、最も力強い「スタートライン」なのです。

今日から、難しい単語帳は一旦脇に置いてみませんか。
そして、自信を持って、あなたが既に知っているシンプルな英語で、世界への扉を開いてみてください。
まずは簡単な自己紹介から。あなたのビジネスは、そこから確実に変わっていきます。

最終更新日 2025年11月28日 by unratt